野島水路への国道357 号線建設問題の経過報告と中間報告
1.現状での総括(2022.8.12)
2008年から扱っている「野島水路の危機」について、現在までの経過を簡単にまとめることにしました。結果として、残念ながら野島水路に道路が建設されることとなり、野島水路の自然破壊が進むこととなりました。このため、野島に来ているシギ・チドリ達が絶滅へと追いやられる可能性があります。
残念ながら、私も後期高齢者となり若かりし頃(60代後半)の様に、1日3回の鳥類調査で野島に通う体力がなくなりました。体力の低下が著しく、PCを操作するのもつらくなりつつあります。
この様な背景からこの総括が、中間報告になれば良いのですが最終報告になるやもしれません。この内容はあくまでも個人の見解です。ただ、かなり内容的には正確だとは感じています。いずれにしろご参考まで。
2.道路計画事業の進捗現況
道路建設用地のボーリング・地質調査が完了(2022.03)。建設上支障となる地質的な項目は無かったようです。
このため、高架道路の構造設計が可能となります(2023年度中?)。
この計画道路の建設用地の用地買収については、道路建設部分が海上と水路が95%以上であり、民間の用地買収がほとんどなく、道路事業で手数がかかり、費用がかかる用地買収に時間・お金がかかりません。
第1回の東京オリンピック時、都内の道路を建設整備するため、都内の河川上に高架道路を建設したときと同じ方法で、短時間で道路建設が可能です。
道路建設の用地買収や営業補償等は、ほとんど該当項目がなく、漁業権がないが?、金沢湾で行われている、ワカメ養殖場の補償がある程度のようです。
建設資金即ち予算さえあれば、2025-2026年にも建設本工事着工が可能な状態であると予想しています。
3.道路建設に反対する理由
ここで、おさらいの意味で、干潟上に22mの高架道路を建設することには反対する理由(自然への影響)について
1.野島水路、とりわけ干潟の生態系を支えるバクテリア・付着藻類・底生生物(ベントス ) 等日光により支えられてる生き物が高架道路により日光から遮断され、多大の影響を 受けること。
2.工事工作物・高架橋基礎・基礎部石積等で従前の砂質干潟の環境が破壊される。
1.の結果として、砂質干潟の生き物減少が魚類・鳥類等の高位採食者への影響を与える。
私にとって関心がある、鳥類とりわけ、ハマシギとメダイチドリへの影響の大きさを 心配している。
道路建設に反対といっているが、正確に言うと「道路をつくることには反対しないが野島水路を通す経路だけは変更してもらいたい」というのが正確な表現です。野島水路と平潟湾を利用する貴重な生き物を保護したいということが反対の理由です。道路を作ってもらうことは特に問題にしておらず、生き物をはぐくむ野島水路上の建設を避けてもらえば良いだけであります。個人的には、野島に来ている鳥類シギ・チドリとその食物であるベントス、ゴカイ、カニを中心とした生物環境を残してもらいたいだけです。
後ほど述べる、行政との打ち合わせで、野島水路外のルートを会議のメンバーと提案させてもらったが、何かの理由で行政が採用しないだけです。多分、行政の業務上の都合で野島ルートが一番手数がかからず、最も低コストで、最も早く実現可能であること、が選択された理由と推測しています。 ただし、今回の計画・工事が完了した時点で、夏島交差点から横須賀市市街地に接続するルートをどのように決めるのかがとても不安です。横須賀市街地まで、自衛隊、アメリカ軍の軍港,現国道16号、京急線・JR横須賀線等をどのように避けた建設ルートを取るのか、避けないのであればどのように道を通すのか不鮮明です。米軍・自衛隊基地又は海上を通すルート以外、良いルートはないと思うが…。ただ、このルートは画には書けるが、国防上の観点から実現性は0だろうと感じています。
道路はできたが、その後の建設計画が進まず、夏島町で道路がとまると野島水路の自然が破壊されただけとなります。
4.私の道路問題への対応歴史
私は横須賀市で育ち、20 代に就職し横浜市に住み、30-50 代転勤族となり、横須賀、横浜を離れ、50 代前半に横浜に戻り、金沢区に在住し現在に至ります。
小学生のころの平潟湾でハゼを釣り、潮干狩りをした思い出があります。
会社生活引退後、3 年ほど金沢区の地域ボランティア。気がつけば月200 時間も身障者施設でのお手伝いをしており、「私のライフプランはどうなったの」と当初のプランと異なっていたことに気づきました。
会社引退後、2003 年に若き日に果たせなかった、生き物や自然と親しめる趣味に回帰し、カメラを抱えて「自然観察の森」と「野島水路」を歩くパターンをスタートさせました。
カメラを持って鳥を追いかける中で、野島水路で出会ったハマシギとメダイチドリの夏羽の美しさに魅せられ、現在まで鳥を追いかける生活を続けています。
2008 年に国道357 号線の道路計画があり、実施段階にあるとの「タウンニュース」の報道を見てびっくりした。すでに事業決定がされている事実にも愕然としました。
慌てて事実確認した国道事務所、横浜市の解答は何をいまさらという感じ。
野鳥の会神奈川支部に確認するも「何の情報も持ってない」との返事。この時点で、この件を知っている人、関心のある人が周りに居ませんでした。
普通、道路事業は、該当区域の地域の方々(買収・立ち退きとなる利害関係者)が騒がないとなかなか表に出てこないという面があります。
この事業は、八景島〜野島水路〜横須賀市・夏島交差点までの区間で、八景島〜野島水路はの区域は横浜市の海、横須賀市の区域は工場用地と道路。横須賀市・夏島交差点までの区域は、横須賀市の道路と横浜市の海岸です。
横浜市内には民間の利害関係者がほとんどいません。主な利害関係者は役所だけということとなります。一般利害関係者が少なく騒がないため、市民サイドの関係者がおらず、この事業が知られていないという現象となっています。
横須賀市側は市の道路と企業(法人)が利害関係者で、用地買収に個人の関係者は居ないと思います。
もう一つこの道路用地はスタートの八景島が横浜市であり、夏島町の日産自動車からは海岸部分が横浜市、工場用地と既設道路部分が横須賀市という土地所有状況です
5.2008 年 野鳥の会会員の受け止め方
そのころに知り合った横須賀市の野鳥の会・長老?S 氏にこの道路について意見を聞いてみました。S 氏「この件は難しい。横須賀市在住の役所の方に聞いてみると、横須賀市は災害対策としてどうしてもこの道路が欲しい。反対するのは難しいよ」とのこと
野鳥の会神奈川支部は、前述のとおり役所からこの道路計画は何も知らされていません。
支部としては事実を知らず、寝耳に水という状況であったようです。しかし、この事実は野鳥の会神奈川支部の情報収集能力の欠如である事は明らかです。
この手の話で自然保護団体の情報収集能力は、あきれ返るほど低いという現実をここでも思い知ることとなります。
一方、横浜市と横須賀市の役所側はどういう状況であったかというと、当然のことながら、野島水路の生き物のことはおろか、野鳥の状況など知る由もないという状況です。
例えば横浜市。横浜市のホームページでは、野鳥について森・川・谷戸の野鳥についての記載のみ。野島水路に飛来するシギ・チドリは神奈川県下で3 本の指に入る飛来数です。
しかし、海の鳥、干潟の鳥についての記載はほとんどありません。さらに、横浜市の鳥は何と海の鳥「カモメ」であることにが何とも残念で皮肉なことでもあります。
横浜市は「みなと横浜」であって、「なぎさ横浜」ではないのです。
横須賀市は野島水路の海岸用地が横浜市の土地のため、当然関心もなく、記載は何もありません。
ただ、野鳥の会は、両市町村の様に市境など関係がなく、神奈川県全域の自然保護団体で、野島は支部内の問題です。野島水路にシギ・チドリがいるということは、野鳥の会神奈川支部は把握しています。
厳密にいうと、横浜市の生物調査資料にも、野島水路にシギ・チドリについて一部記載があります。これらの調査数値は、特定地域、例えば流域河川、海岸を調査したときにいた生物として記録されています。
これらの数値は、道路用地上の生き物について、いつの時期、どの場所に、どの種類が、どれくらい数・期間居るのかというような、具体的な調査資料はではなく、その調査に特化した、調査日の実績として記録されています。
野鳥の会には鳥類目録、ラインセンサス等の野島でのデータはあるも、記録日当日に居た数しか記録がない、「野島水路にこの鳥がいる」というだけの資料にすぎません。
要は、野島水路で実施される工事の鳥類への影響度を確認するデータがないのです。
これでは、役所側が建設ルートを指定する前に知ることはないし、市民が道路ルート上に貴重な生き物がいるかどうか、知ることもできないし、判断するデータさえ知ることが出来なのです。これが最大の問題です。
工事の影響を受けて減少する鳥類の数がわからないだけでなく。工事エリア内(道路用地・工事エリア)の生き物への影響さえわからないのです。
これらの事実認識の中で私個人は、「何はともあれ現状の正確な把握が必要」と考えました。
道路建設反対の活動は神奈川支部にやってもらい(私がそう考えていただけ、支部はそう考えていなかったかも)。私は、保護のための現状把握と対策を明確にするのが重要と判断し、現状把握の部分を担い、調査方法を教わり、2009
年より現状調査をすることとしました。
自主調査を進める中で、野鳥の会神奈川支部の方々と道路建設反対と野島の野鳥保護について、色々と話した中で、次のようなことがわかりました。
@支部役員…反対活動をする手足がないのです。(人手が足りない)
A金沢区の1 幹事…忙しいので私に言ってこないで。(野島のことをやっている暇はない)
Bある有名な?会員…「野鳥の会は反対ばかりで対案を示さない。」
まあ、こんな状況であり、野島のシギ・チドリ保護の問題を助けてくれる方は居ませんでした。
(と私が感じていただけかも?)
この様に書くと、野鳥の会神奈川支部が何もしてくれなかったと誤解される可能性があるので、神奈川支部のために申し添えると、
a 道路建設反対署名には機関決定し支援する姿勢は示してもらえました(署名活動が中止とな
りこの支援は無効となりました)。
これ以外に、
b 機関誌への道路問題・シギ・チドリの渡りの現状・動向等、投稿を載せて戴けるよう支援して
戴いたことも何回かあります。また、何回も探鳥会を開催して戴きました。
c 支部より、国道事務所へ問い合わせの文書が発送されています。
この文書について回答がなく、再度発送したようです。2 通とも無視され返信がなかったとのこ と。
道路建設反対への活動については、支部として組織的に支援する人手がなかったようです。もしかして、支部としては「あなたに任せた」とのことであったのかもしれません。
6.個人的なアプローチ
私自身、ただ調査しただけだろうと言われるのは心外なため、役所とのやり取りした実績について記載します。
2008.1.23 横浜国道事務所調査課I 氏
TEL にて問い合わせ道路計画図・工法・構造・環境調査等。
お返事「まだ決まっていない」それのみ。
2012.9.12 横浜国道事務所地域道路計画第二Y 係長
事前に電話をして訪問、
@事務所入り口で「打合せ場所も空いていない…。」何と立ち話
A具体的な回答なし。質問には「情報公開請求をしてくれ」というのみ。
国道事務所の対応は非礼で、とても不親切なものでした。
2012.8.20 横浜市役所環境創造局政策調整部政策課K 係長N 氏
野島公園周辺の野鳥の動向、シギ・チドリの保護についてお願い。
広報・掲示等で野島のシギ・チドリの告知。野鳥休憩場所・保護エリア設置。
親水施設の設置等の要望。
3 年5 月分の調査データを持って、保護対策を要望しにいきました。
K 係長
ほとんどの項目について他部署との調整をしてみるとの返事。
「木で鼻をくくる様な回答になるが」という前置きなので、「その程度の解答なら聞いてもしょうがない」とこちらからお断りして回答は聞きませんでした。
説明している折に、「この資料は公園関係の担当者が喜ぶ」程度の発言だけで、生き物の保護についての考え・市政策等は一切、聞けませんでした。
横浜市は本当に「お役所的な対応」で、野島の生き物について何の関心もないという印象でした。
7.局面を変化させた夏島交差点改良工事
道路建設計画は署名活動で一時停止?、その後東日本大震災により、建設資金の優先度が変わり、動きが停滞していました。そんな時に、2018 年夏島交差点改良工事が着工され、野島水路経由ルートの変更がほぼ不可能になりました。道路建設最終地点が整備されることは、中間の経由ルートが変更されないということです。
8.反対するだけでは野鳥は保護できない
問題は、道路をどうしても野島水路上に作るのであれば、野鳥保護は無条件で実施してもらわねばならない。道路建設事業の作業工程の中に生物調査の工程があるため、その時に調査データを提供し、現状を正確に把握してもらう必要があります。
県外の野鳥の会の会員のなかに、公共事業での野鳥保護を役所に説明した方が居るので、意見を聞くと「役所は意見は聞くが、実施するとき無視して保護しない」という意見が多かったです。
役所も業務として道路建設用地内での生物調査を実施します。外注業者に調査項目、調査施時期・回数を決めて委託実施します。ただこの調査は「特定の日」「特定の場所」での1〜4
日程度の調査結果にすぎず、具体的だが全体像は把握できません。業務上の手順書に指定されているため、生物調査を実施するだけのことです。
このため、正確な野鳥データを役所に渡さないと役所が判断を誤ることになる。あるいは「知らなかった」と言う根拠となり、何の手も打たずに自然破壊に至ります。
9.野島の鳥類の説明
役所に正しい野鳥データを渡し、説明し意見を言う機会を探していました。そんな折、横須賀市にアプローチする機会を得ました。この件については横須賀市に感謝しています。
何はともあれ、正確な野鳥データに基づき説明できる体制だけはできました。方針転換のキーとなったのが、良くも悪くも横須賀市であったことは何とも皮肉なことであります。
おりしも、私の2009 年から開始した鳥類調査は、2018 年に10 年目を迎え、区切りとして調査の取りまとめを行い、1 冊の小冊子を個人出版しました。
2018 年から国道事務所、横須賀市、横浜市を含む環境調査の会議にメンバーとして参加し、鳥類の現状を説明する機会と国道事務所の工事用地周辺の環境調査の結果について、説明を受け、意見を述べる委員?を2022
年5 月迄参加させてもらいました。
この会議では、10 年間の野鳥調査のデータとシギ・チドリの10 年間のデイリーデータを提示して、野島水路内のシギ・チドリの生態、工事で使用不能となる干潟(採食・休息場所)の代替地の整備、代替地の干潟の整備(案)を役所に説明させてもらいました。
ただ代替地を作るのではなく、鳥を保護するための、人と鳥との干潟運用・使用ルールの制定、野島本来の砂質干潟への回帰・改修等を行わないと、鳥達の餌と環境を維持できない、ということを重点的に説明しました。
野鳥の保護は、それぞれの鳥類の生態、生活している場所の具体的な状況を正確に把握して実施しないとうまくいきません。他の場所での成功例でも、ところ変われば環境が変わり、同じ鳥でも生活スタイルが変わるため、うまくいかないことが多いのです。
この会議への参加は、正しい野鳥データを提供し、行政の実施する調査データを正しいものに修正するのが目的で、それ以降協力できる項目は協力し、同意できない項目が発生した場合、離反すると決めていました。
何回かの説明会で私の方から役所側に調査結果、シギ・チドリの10 年間の実態、野島水路の利用状況の説明、道路建設上で必要な野鳥の保護策等説明をしました。
10.役所の生物保護案
2022 年4 月国道事務所から生物調査実施後の保護対象とするものについての説明がありました。以下の4 項目とのこと
@アマモ・コアマモの保護(自然海岸側)
Aアイアシ、ハマボウの保護(日産・追浜工業間前)
Bシギ・チドリの保護(野島水路、追浜高校前、コンビニ前)
Cノリ養殖場(八景島・日産間海上)
この結論についてはある程度、納得がいくもので、そこそこ妥協できるものでした。
ここまでの結論は納得がいくものではないが、何とかシギ・チドリがギリギリ保護できるのではという期待レベルに入るものでした。
残された問題は、シギ・チドリを保護しながらどのような工事方法を実施するかであり、それが大きなターニングポイントになると予想はしていました。
残念ながらその内容が最悪なものとなりました。
11.工事方法と干潟保護案
2022 年4 月の会議の折、道路建設にあたり、建設ルートの西側に工事用桟橋を常時設置する予定との説明を受けたました。
この説明を受けるまで、工事実施時の必要スペースをどこに確保するのか、事前の周辺道路の整備や資材置き場をどこに求めるのか不明で不思議でした。干潟に台船を浮かべて工事をするのかなと予想していました。
しかし、シギ・チドリの採食重要ポイントの干潟に最も最悪な形で工事エリア、工事用道路、資材置き場、駐車場、残土置き場など儲けることとなりました。
「干潟を埋め立てないだけありがたく思え。」と言わんばかりの対応であります。
この説明を受ける以前に、保護対策について、鳥類の現状実態(常時採食と休憩に使用する場所)を説明し、採食・休憩場所の全域に道路が建設されることを説明、工事用地の干潟についての代替え地の干潟整備をどのように工事すれば鳥への影響が少なくなるかまでの案を準備して説明しています。
念のため、再確認の意味もあり、より具体的な内容の資料を新たに作成し、打合せを持ち説明しました。
内容は
1.現在のシギ・チドリの採食・休憩(分布・場所・時間)
2.現在のシギ・チドリの採食・休憩(生態・人との関係・距離)
3.代替え干潟の整備(対象地・整備方法・管理ルール)
4.キアシシギ用代替え休憩施設の新設(場所・構造)
打合せで説明した資料・別紙PDF をご覧ください。
この説明に対しての国道事務所・横須賀市の解答は
@代替え干潟の造成は、現行干潟を地ならし整備する程度。
A代替え干潟の管理ルールは横浜港湾の担当となりこのメンバーではできない
Bキアシシギ用代替え休憩施設も横浜港湾の認可が必要
野島のシギ・チドリの保護に最低限必要な項目を説明しただけである。しかし、その保護対策も干潟は簡単に地ならし、人との干潟利用の運営ルールも作れない。キアシシギの休憩施設2m
の高さで0.4m 幅の休憩施設も、許可を受けないと作れないとの回答。
幅22m 長さ2.3km の高架道路の許可を受けて作る部署が、2mX0.4m の構築物も作れないとは。まして、代替え干潟と休憩施設もシギ・チドリが工事中に利用できなくなる部分の不足分を補う、機能補償の一部分である。本当にシギ・チドリ達を保護する意思があるのだろうか。
重要干潟上に工事用桟橋を常時設置する事はその採食地で70%以上餌を採食している鳥達に致命的な打撃を与えることは明らかである。代替え干潟(緊急避難用干潟)を整備しても、代替え干潟の餌の供給能力が50%程度もないとすれば代替え能力が不足していることは明らかである。また、代替え干潟で、鳥達が人に遮られることなく採食出来る保証もない。
採食場所を潮干狩りの人に追われ、結果として採食できないことがありえる。現状でも30%程度しか利用出来ない干潟で、人と共存する干潟運営ルールが無ければ、鳥達は採食自体を妨げられる。
代替え干潟は現行重要干潟の一部と併用して運用され、かつ条件付きでも採食できなければ代替え機能・効力さえ発揮できない。
工事用桟橋の設置により、メインの採食場が常時占拠され、採食困難になり、採食量が激減する。予想の数値となるが、採食量は現在と比較して1/3 以下に減少すると予想している。さらに代替え干潟に潮干狩りの人が入ってしまえは、採食量は、1/3
以下も確保できない可能性がある。エサがとれなくなれば鳥達は野島にとどまらなくなる。
工事の進捗により、工事方法とシギ・チドリの保護の調整がとても難しくなると想定はしていた。しかし、これらの条件をクリアーできなければ、エサは取れなくなる。
保護はすると言っているその同じ口で、採食場から追い出す(工事用桟橋の設置)という言葉がどうしたら出てくるのか理解ができない。
多分、工事が終わり、道路ができたときに「保護をすることはちゃんと決めたのに、何故か鳥は居なくなった」と言い訳をするのであろう。
とても残念なことだが、保護に責任を持てる体制があれば、メンバーとして残ることも可能だか、さすがに工事用桟橋の常時設置と代替え干潟運営ルールも無しとなると提案できる対策案もなく、メンバーとして残ることも、支えることも出来る状態ではない。
これまでメンバーとして、野島の鳥類について工事に必要なデーターはすべて渡し、事実もきちんと説明した。説明した内容を理解できない方に説明した覚えもなく、最小限?だが十分説明したので、この会議以降メンバーから外れることとした。
12.横浜市の立ち位置
ここまで、保護についての話を国道事務所と横須賀市としている形になっているが、鳥の保護対象となる土地は、前述した横浜市の土地である。横浜市は、打合わせにはほとんど顔を出さず、横浜市の生物の保護を国道事務所と横須賀市が対応するという無責任な形となっている。 ただ干潟という土地を提供するという立ち位置であり、そこを利用する生物・環境について何の関心も・責任も持っていない。
とても違和感を感じる状態であった。横浜市は自分の行政区内の生物保護には何の関心もない、貴重な生物の価値さえ知らないのかのかと感じざるを得ない。
私は横浜市に住んで居り、この様に市民の財産となる生き物と自然環境を大事にしない姿勢には納得できない。横浜市は無責任である。
ということで、「負け犬の遠吠え」、「遅かりし由良之助」的な総括になってしまった。
事業認可がおりる前なら、役所と自然保護団体がもめることなく野島水路以外の道路ルートが決まっていたかも、と、とても残念。
一応、ここで述べていることの裏付けとなるデータ・資料を公開しておきます。
12.今回の反省点
最大の問題は、無関心
1.行政担当者が、貴重な生き物が自分の行政区内にいることを知らず、保護対策さえ立てて いないこと。
2.貴重な生き物の存在を知りえる立場の人や団体の無関心。知りえる立場の人の努力不足。
今後の個人的対応
道路建設後、野島のシギ・チドリがどのようになるのか。減少するのかそれとも増加するのか。体力があれば、工事開始年からデイリーの調査を再開する予定です。ただ、年齢面から、ほとんど無理だと予想しています。
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